脇の下が痛い
副乳・乳腺とホルモンの影響
哺乳類のうち、犬、猫、牛などは二対以上の乳房を持っています。私たちヒトも胎児のときには複数の乳腺のもとを持ちますが、その後消えていきます。しかし中には、副乳(異所性乳腺)として残るケースが見られます。
そしてこのうち脇の下に残った副乳が、ホルモンバランスの変化によって痛むことがあります。ごく稀ですが、副乳に乳がんが生じることもありますので、しこりを見つけた場合などは、お早めにご相談ください。
腋窩リンパ節の感染
脇の下を走る「腋窩リンパ節」の腫れは、ウイルスや細菌の感染、アレルギー性皮膚炎、乳がんの転移などを原因として起こります。その他、ワクチン接種後の副反応として、腋窩リンパ節の腫大が生じることもあります。
このうち、ウイルスや細菌による「リンパ節炎」で痛みを生じることが多いです。
皮膚・神経などの感染や腫れ
(粉瘤など)
毛穴の詰まりをきっかけとした細菌感染、粉瘤などによって脇の下に赤み、しこり、痛みを生じることがあります。粉瘤が原因である場合、炎症が落ち着いて痛みが消えても、手術によって粉瘤を摘出しなければ根治しません。
乳がん
乳がんの腋窩リンパ節転移は、脇の下の腫れやしこり、しこりによる神経圧迫からくるしびれなどを生じますが、痛みを生じることはまれです。
脇の下のしこり
リンパ節の腫れ
脇の下のリンパ節が、ウイルスや細菌の感染、アレルギー性皮膚炎、乳がんの転移などで腫れると、しこりとして触知することがあります。
副乳の発達
脇の下に副乳がある場合に、月経などホルモンバランスが変化する際に発達し、しこりとして認められることがあります。
ごく稀ではありますが、副乳に乳がんが発生してしこりを伴うこともあります。
粉瘤・脂肪種
皮膚下にできた袋状の構造物に皮脂・角質が溜まって生じる「粉瘤」、摩擦などの刺激を受けやすい場所に生じる「脂肪腫」などが、脇の下でしこりのように認められることがあります。
乳がん
乳がんがリンパ節に転移し、腫れ、しこりとして認められるケースです。また稀ですが、脇の下の副乳で乳がんが生じ、しこりを伴うこともあります。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫によって脇の下のリンパ節が腫れ、しこりとして認められることがあります。ごく稀なケースです。
受診の目安
しこりを見つけた時点で、できるだけ早く受診しましょう。発熱、倦怠感などのある場合には特に注意が必要です。
しこりの多くは良性ですが、自己判断で済ませるのではなく、必ず医師の診断を受けてください。