粉瘤とは
粉瘤とは、皮膚下に生じた袋状の構造物に、皮脂や角質が溜まってできる良性の腫瘍です。背中、首、顔を中心に、全身のどこにでも見られます。
「アテローム」とも呼ばれます。当院では、粉瘤の日帰り手術を行っております。
粉瘤の症状

初期には単なるしこりのようにして現れ、徐々に増大します。多くの場合、痛みはありませんので放置されるケースが少なくありません。
細菌感染を起こすと、急激に大きくなり、赤み、痛みを生じます。さらに進むと皮膚に穴があき膿があふれます。(この状態になりますと、一旦皮膚に切開を加えて膿を出し、感染を落ち着ける処置が必要になります。)
※画像は感染した粉瘤
粉瘤ができる原因は?
手のひら、足の裏にできる粉瘤は、ヒトパピローマウイルスの感染がきっかけに発生することがあると考えられていますが、ほとんどのケースにおいて、原因を特定することはできません。
粉瘤は悪性化する?
ごく稀なことではありますが、炎症を繰り返したり、長期にわたる経過などによって、粉瘤が癌化してしまうことがあります。当院では切除した標本の病理検査を行います。
粉瘤は自分で治せる?治療方法は

当院の治療方法
当院では、最小限の皮膚を含めて粉瘤を摘出した後、形成外科的に縫合します。場合によって、くり抜き法(円筒状のパンチで穴をあけ、袋をできるだけ掻き出す方法)を行うことも可能です。(摘出術よりも再発する可能性がわずかに高くなります。)
脂肪腫とは
脂肪腫とは、皮下で脂肪細胞が増殖して生じる腫瘍です。背中、肩、臀部を中心に見られます。ほとんどは良性ですが、稀に悪性の脂肪肉腫が見つかることがあります。
当院では、脂肪腫の日帰り手術を実施しております。
脂肪腫の症状
押すと皮膚の下に可動性のあるしこりが触れます。粉瘤とは異なり、感染することはありません。
放置していると、徐々に大きくなります。
脂肪腫ができる原因
脂肪細胞の増殖を原因としています。ただ、なぜそのようなことが起こるのかということについては、はっきりしたことが分かっていません。
脂肪腫は悪性化する?
脂肪腫が悪性化することはありません。ただし、脂肪肉腫という脂肪組織の悪性腫瘍は存在します。脂肪肉腫は中高年以降に発症しやすく、大腿などに発生することが多いと言われています。
脂肪腫は自然に治らない!‐
治療方法は?
粉瘤と同様、脂肪腫も放置していて自然に治るということはありません。脂肪腫が大きくなってからでは切開も大きくなってしまいますので、早めにご相談ください。
当院の治療法
脂肪腫の直径より短い皮膚切開を加え、引き出すようにして腫瘍を摘出し、形成外科的な縫合を行います。皮膚切開はしわのラインに沿わし、できるだけきれいな瘢痕となるように心がけています。
粉瘤・脂肪腫の日帰り手術
粉瘤や脂肪腫と思われるしこりに気づいたときには、お早めにご相談ください。
小さいうちに摘出しておくことで、傷痕も小さくなります。
なおいずれの手術も、健康保険が適用されます。
1診察・診断
発見した時期、痛みなどの症状をお伺いした上で、超音波検査を用いて腫瘍を観察し、診断します。
治療内容にご同意いただけましたら、治療へと進みます。
2局所麻酔・手術
局所麻酔をかけ、粉瘤・脂肪腫を摘出します。
当院では、局所麻酔の際、極細の針を使用するなどして、痛みの軽減に努めています。
3術後観察
患部の状態を確認するためにご来院いただきます。
抜糸は約1週間後に行います。当院では、抜糸後の傷あとをきれいにする為に、スポンジを用いた圧迫治療をお勧めしています。
尋常性疣贅・アクロコルドン・
スキンタッグ
尋常性疣贅は、皮膚にヒトパピローマウイルスが感染して生じるイボをいいます。手のひらや指に見られます。
液体窒素による凍結療法、メスを使った切除、レーザー治療などがありますが、当院では炭酸ガスレーザーを用いて焼灼します(保険診療)。
アクロコルドンは、年齢とともに首やわきの下に生じる小さな褐色のイボです。また、スキンタッグは首に見られる隆起性のイボです。
治療法は、アクロコルドンは炭酸ガスレーザーで蒸散します(自由診療)。スキンタッグは剪刀(はさみ)にて切除します(自由診療)。
汗管腫、稗粒腫(ひりゅうしゅ)
汗管腫は主に顔面にできる敷石状に隆起した皮膚腫瘍です。一方脾粒腫は顔面にできる白色の小さな腫瘍で、多発することもあります。
治療法は、切除(保険診療)と炭酸ガスレーザーによる蒸散(自由診療)等があります。
石灰化上皮腫
上皮の一部が石灰化する良性の腫瘍です。実際に石のように硬くなります。多くは無症状ですが、かゆみ、圧痛を伴ったり、腫瘍に圧迫され皮膚が薄くなり、潰瘍が生じるケースも見られます。手術にて腫瘍を摘出いたします。
軟性線維腫
皮膚と同じ色あるいは茶褐色のイボのようなできものです。首まわりを中心に、背中、胸、脇の下などに好発します。手術にて腫瘍を摘出いたします。
血管腫(赤あざ)
生まれつき存在する平らな単純性血管腫や、生後まもなく生じ、1歳頃までに急激に大きくなった後、徐々に小さくなるいちご状血管腫などがあります。
当院には血管腫を治療するレーザーはありません。ご了承ください。
扁平母斑(茶あざ)
メラニンが皮膚の浅い所に増えてできる平らな茶色のあざです。
殆どの場合、生まれつきに存在しますが、思春期になって発生することもあります。
いずれの場合も悪性化することは通常ありません。
大きさが小さい場合には手術も可能ですが、部位や大きさによってはレーザー治療を行います。しかし、残念ながら全ての方にレーザーが有効なわけではありません。
当院ではQスイッチ付きルビーレーザーで治療を行います(2回までは保険適用)。
太田母斑、異所性蒙古斑(青あざ)
太田母斑は通常顔の片側に現れる点状の青あざです。生後すぐに現れる「早発型」と思春期に現れる「遅発型」があります。一度発生すると自然消退することはありません。
異所性蒙古斑は「お尻以外にできた青あざ」をいい、自然消退する可能性は少ないと言われています。
いずれの青あざにもレーザー治療が有効とされています。当院ではQスイッチ付きルビーレーザーで治療を行いますが、いずれも保険診療が可能です。
基底細胞がん
皮膚腫瘍のうち、悪性を疑った場合は組織の一部を切除し、病理検査を行います。当院では転移する事が非常にまれな基底細胞がんに対し、安全で整容的に優れた手術をご提案致します。
検査
拡大鏡を用いて慎重に観察を行います(ダーモスコピー)。がんが疑われる場合には、一部採取し細胞検査を実施します。病理結果によってはご希望する総合病院へ紹介させていただきます。
治療
局所麻酔下で切除します。腫瘍よりひと回り大きく切除します。
必要に応じて、植皮や皮弁による再建術を行います。
放射線治療や抗がん剤などの術後治療は原則必要ありません。